キューピーさん

登場人物

  • 担任教師(不問):教師。兼ね役可
  • キューピー(不問):超自然的な存在。兼ね役可
  • ユキト(男):男子高校生。兼ね役可
  • マナ(女):女子高校生。兼ね役可
  • サエコ(女):女子高校生。兼ね役可
  • ジュンヤ(男):男子高校生。兼ね役可

所要時間(300文字あたり1分として計算)

約4分30秒(1303文字)

台本についての補足説明(ディレクション等)

特にありません。自由に演じてください。

本文

SE< 教室のガヤ・チャイムの音・教室のドアを開ける音>

担任教師:えー、突然ですが、本日の道徳の授業は、特別講師の方をお呼びしています。それでは、先生。中へどうぞ

SE< キューピーの足音>

SE< 教室のガヤ>

担任教師:こちらは、見ての通り。キューピー先生です。みんなも知ってると思うけど、キューピー先生は世界中の人々の恋愛を司ってる神様で、普段は魔法の弓矢でカップルを成立させることを生業(なりわい)にしていらっ しゃいます。

キューピー:クピドキュピクプー

担任教師: ……というわけで、今日はキューピー先生の力で、それぞれの班の全員が誰かしらとカップルとなるようにしたいと思います。みんなは、班に分かれて、班の中で誰と誰をカップルにするかを決定してもらいます。…… はい、みんな、班に分かれましたね。それでは、議論を始めてください

キューピー:クックピプー

SE< 教室のガヤ>

ユキト:どうすんだよ、コレ…… 。どういう状況だよ

マナ:うだうだ言ってても仕方ないでしょ。さっさと決めちゃいましょうよ。どうせ、一時的なものなんだから、誰でもいいでしょ?

ユキト:誰でもいいったってなぁ……

マナ:しょうがないわねぇ。…… じゃあ、わたし が……

サエコ:わたし、ユキト君がいい

ユキト:え?

サエコ:わたし、カップルになるんだったら、ユキト君がいい

マナ:ちょっとサエコ…… 。

サエコ:何? マナは誰でもいいんでしょ?

マナ:そうだけど…… 。ユキトは、どうなの?

ユキト:俺は別に……

サエコ:じゃ、決まりね!

ジュンヤ:…… な、なんか、空気が重いな。そうなると、僕とマナがカップルか。よろしくね

マナ:よろしく(声色低く、怒りをこめて)

SE< 学校のチャイム>

SE< 教室のガヤ>

SE< ユキトの足音>

ユキト:ん? どうした?

マナ:あのさ、さっきの…… 、サエコとの事なんだけど

ユキト:なんだよ。あんなの気にしてんの? ただの授業の一環だろ?

マナ:そうだけど、でもさ……

ユキト:だーいじょうぶだって。…… 俺はマナが好きなんだから

マナ:え!? ちょっと!? 急に何言って……  !

ユキト:はは! じゃあな!

<場面転換>

 担任教師:しかし、文科省も思い切った施策をとったものですね。生徒たちは一時的なものだと 勝手に思い込んでいるようですが、少子化対策のために は、そういうわけにはいかないですよね。さあて、そろそろ生徒が全員下校したかな。キューピー先生、お願いしますよ

キューピー:クピクピクピ…… クピクーーー !!!

SE< 閃光>

<場面転換>

SE< 朝、小鳥のさえずり>

マナ:おはよう

ユキト:おう、おはよ

マナ:あのさ、昨日の話なんだけど……

サエコ:ユキトー ! どしたの? 今日早いじゃーん

ユキト:ばっか。お前に合わせてやったんだよ。マナ、わりぃ。また今度な

マナ:うん、また今度ね

SE< 遠ざかってゆく足音>

ジュンヤ:マナ、おはよう。……ん? どうかした?

マナ:ううん、なんでもないの。なんでかな。目にゴミが入ったみたい