感電知

登場人物

  • 男:不問
  • 女:不問

所要時間(300文字あたり1分として計算)

約1分30秒(563文字)

台本についての補足説明(ディレクション等)

特にありません。自由に演じてください。

本文

男:       その刹那、雷が俺を貫いた。

一説によると、雷に打たれる確率は100万分の1らしい。

誰もが震えあがるほどの不幸であるがしかし、俺は死ななかった。

それどころか、全くの無傷だ。

一説によると、雷に打たれて生存する確率は10分の1らしい。

ただ生存するだけではなく、無傷でいられる確率はわからない。

あまりにバカげた事象であるので、誰も確率を計算する気を起こさなかったのだろう。

それから、俺は雷に打たれたことで、常人の知能を遥かに凌駕する、空前絶後の大天才となった。

当然、雷に打たれて空前絶後の大天才になる確率はわからない。

そんなことは常人の考えが及ぶ範囲内ではないからだ。

しかし、矮小な脳みそを捻ってよく考えてみてほしい。

そもそも知性とは電気信号の往来によって構成されるものなのだから、雷という膨大な電気エネルギーによって空前絶後の大天才が誕生するのも道理ではないだろうか。

まあ、俺が大天才であることは揺るがないのだから、そんなことは放念したまえ。

俺は大天才になった瞬間、人類を先導してよりよい未来へ導く義務と責任を負っているのだ。これからは一分一秒も無駄にできない。行動あるのみだ。

SE<町の雑踏>

女:       ねぇ、見てアレ。朝からずっとさぁ、あそこでナンパしてる奴いるんだけど。

頭おかしいよねぇ? あ、こっち見てる。やば。

ほら、早くあっちいこうよぉ。