登場人物
- ピエロ(男もしくは女):サーカスのピエロ
- マリー(女):小学校低学年のイメージ
- アンディ(男):マリーの弟
所要時間(300文字あたり1分として計算)
約3分0秒(897文字)
台本についての補足説明(ディレクション等)
特にありません。自由に演じてください。
本文
サーカスの夜。空には星空のカーテンがかかり、街では色とりどりの街頭が踊る。子供たちはベッドから抜け出し、 親には内緒でサーカスへ向かう。
マリー「アンディ、早くして! サーカスが始まっちゃう!」
アンディ「待ってよ! マリー! ……あっ!」
マリー「アンディったら……また転んじゃって……大丈夫?」
アンディ「それより! みてよ! あそこにピエロがいる!」
マリー「こんなところにピエロがいるわけないでしょ。今ごろピエロは ステージの上よ」
アンディ「ほら! あそこだよ!」
マリー「んーーー? あら、ほんとね。どうしたのかな?」
ピエロ「ない、ない、どこにもない」
マリー「ピエロさん、こんなところで何してるの?」
ピエロ「なくした。なくした。大事なものをなくした」
マリー「あら、それは大変!一緒に探してあげるわ。ほら、アンディも」
アンディ「マリー、このピエロなんだかおかしいよ。サーカステントの外 なのに、ピエロのメイクをしているなんて」
マリー「きっとメイクをしてから探しものに気づいたのよ。おかしいことなんてないわ」
ピエロ「こまった。こまった。とてもこまった」
マリー「ねえ、ピエロさん、探しものはなあに?」
ピエロ「……探しものは、探しもの」
マリー「ん? その、探しものって、なあに?」
ピエロ「探しものは、探しもの!」
アンディ「見て! あそこで何か光ったよ!」
マリー「本当? ピエロさんの探しものかな?」
ピエロ「ああ! ああ! ……探しもの、あった!」
マリー「よかったね! ピエロさん! ……でも、それって」
アンディ「やばいよ! マリー! 血がついたナイフだ! こいつ、殺人ピエロだよ!」
マリー「大丈夫よ、アンディ。あれは血糊と言って、ニセモノの血 なんだから」
ピエロ「探しものあった。君たちのおかげ。……だから、見逃す。特別だよ」
マリー「どうしたの? ピエロさん」
アンディ「いいからいこうよ! マリー! サーカスが終わっちゃうよ!」
マリー「あ! 待ってよ、アンディ!」
サーカスの夜。子供がたくさん、闇の中。隣の席のあの子が消えても、誰も彼もが気づきやしない。夜が明けても、ベッドは空っぽのまま。